2次元CADと3次元CADについて

2次元CADと3次元CADは、名前の通り平面的か立体的かの違いで、後者は前者の発展型として誕生しています。コンピュータやCADソフトの進化に伴い、求められる機能が変化したことで、2次元CADではできないことが増え、やがて3次元CADが登場した歴史があります。

CADソフトの歴史は1960年代にまで遡りますが、当時は専門的かつ特殊で、決して一般的ではなかったといえます。80年代になると、コンピュータやCADソフトの性能や機能が高まり、瞬く間に普及することになりました。特に、コンピュータの価格が下がった90年代以降の伸びは驚異的で、市場はあっという間に大きくなっています。この頃はまだコンピュータの性能に制約があったので、2次元CADが圧倒的に主流でした。

画面上で製図や設計ができる、その利便性はすぐに理解され、様々な業界で採り入れられることになります。平面的で視点が固定されることから住宅設計と相性が良く、建築業界で普及しました。土木や電気の分野でも使いやすく、半導体の設計とも相性が良好だったので、幅広い分野に貢献してきたといえるでしょう。当然ですが、多種多様な業界で使われてきた2次元CADは、それだけフィードバックの量も膨大で、急速に進化するのは必然でした。

服飾の分野においても重宝がられたので、改めて2次元CADはCADソフトの進化を後押ししてきたCADだと分かります。基本的にはx・y・zの三面図で、正面と平面、側面で構成されているソフトが一般的です。図面の表示は三角法に基づきますから、立体的な表示は苦手ですが、逆に平面的に捉えるのに向いています。

3次元CADは、この平面的な表示を立体化したり、奥行き表現を合わせて実現しているのが大きな違いです。仮想空間に設計するイメージなので、対象物を立体的に見たり、視点を変えて確認することができます。自然にパースを掛けて表示を行いますから、三角法の知識や立体的な見方を知らなくても、すんなりと立体的に捉えることが可能です。

平面的な図面作成から発展した3次元CADは、体積や質量、重心といった要素を算出する機能を持つようになっています。表面積の計算も簡単ですし、試作品を作る前に画面上でシミュレーションする使い方もできます。高額な製品だと、流体や熱の解析というような高度な機能が内包されるので、より専門的な用途にも難なく対応します。ただし、扱う情報量が増えた結果、コンピュータに求められる計算量が桁違いに増加したので、高性能なコンピュータでなければ表示も解析も遅くなってしまいます。